東京都中央区にある三越前は、三井グループによって開発が進められてきた街です。また1935年に完成した老舗百貨店「三越本館」は、国の重要文化財にも指定されています。現在は、城下町として栄えたかつての面影を残しながらもオフィスビルが立ち並ぶビジネス街であると同時に、ショッピングやグルメも楽しめるスポットとしても進化しています。今回は、そんな三越前の街情報をお届けします。三越前に住んでみたいと考えている社会人や学生、また飲食店進出を計画しているオーナーは、ぜひ参考までにご一読ください。
歴史を感じさせる建造物たち
三越前近辺は、江戸時代から商業の街として栄えてきました。現在の三越前駅周辺には、越後屋の跡地に建てられた三井財閥の本拠地「三井本館」、国の中央銀行である「日本銀行」、重要文化財にも指定されている老舗百貨店「日本橋三越」などの歴史的建造物が圧倒的な存在感を放っています。
都内主要エリアへのアクセスが便利
三越前駅には、東京メトロ銀座線と半蔵門線の2線が乗り入れています。渋谷までは両線ともに約20分、新橋や上野には、銀座線で約7分、大手町までは半蔵門線で約1分と、都内主要駅へのアクセスも便利です。また、三越前駅は新日本橋駅とつながっており、連絡通路を利用して総武快速線に乗り換えることもできるほか、徒歩圏内には東京メトロ銀座線・東西線・都営浅草線が乗り入れる日本橋駅や、巨大ターミナル駅である東京駅があります。路線バスも多く、日本橋エリアを走る無料巡回バス「メトロリンク日本橋」は、約10分間隔で東京駅八重洲口と日本橋の南北エリアを運行しています。
ちなみに三越前駅は、中央通りに本店のあるデパート「三越」が、駅の建設資金を全て負担し開業したという歴史があります。そのため銀座線ホームの壁紙には、三越の“三”をモチーフにした赤い3本線が引かれています。
重要指定文化財の老舗百貨店「三越本店」
三越駅前を代表する建物「三越本店」は、前述のとおり、百貨店でありながら国の重要指定文化財に指定されている稀有な建物です。そんな三越本店は、1673年に三井高利が「越後屋」として創業したのがはじまりです。その後、明治に入り「三井呉服店」「三越呉服店」へと変遷を経ながら、1904年にデパートメント宣言を行い“日本初の百貨店”として営業をスタートしました。そんなことから、三越本店は日本のデパートメントストア・お子様ランチ・エスカレーター発祥の地ともなっています。
また、本館正面玄関には待ち合わせ場所として親しまれている2頭のライオン像があります。気品と店格を象徴する存在であるこの像は、東京名物の一つとしても有名です。さらに、本館1階中央ホールから吹き抜けの4階に届くようにそびえる天女の像もまた、三越の基本理念である「まごころ」を表徴する像として1960年に造られました。ちなみに大理石が使用された内装には、アンモナイトなどの化石が含まれているなど、ショッピングだけでなく建物にも見所がたくさん隠されています。
新たなランドマークの「日本橋三井タワー(三井新館)」
2005年に再開発によって誕生したホテル・オフィス・商業からなる超高層ビル「日本橋三井タワー(三井新館)」は、1929年に竣工した三井本館の歴史や文化を受け継ぎつつ、その隣に建てられました。隣接する三井本館の保存と都市再開発を両立させたことで、三井不動産は、この建物で日本設計と共に「日本建築学会賞」を受賞し、建築業界からも高く評価されました。この日本橋三井タワーは、地下4階、地上39階建ての建物で、ビル内にはオフィス・美術館・ホテル・アトリウム・ショップ・レストラン・郵便局などが入っています。飲食店としては、地下1階〜2階の低層階に周辺のオフィスワーカーや来館者向けのカフェやレストランが、そして高層階を中心に、マンダリンホテルが運営する高級レストランやバー、ダイニングなどが入っています。
住みやすさも兼ね備えたエリア
三越前周辺はビジネス街や観光地としてのイメージが強いですが、生活に便利なスーパーマーケットなども充実し、意外と住みやすいエリアでもあります。また、三越本店のある中央通りには、産地直送の食品を揃えたアンテナショップやコンビニも点在しています。
全体的に商業施設の多い街で、子どもを連れて遊びに行けるスポットなども充実しています。近辺には、常磐橋公園・浜町公園・堀留町公園・久松児童公園・隅田川テラスなど公園も多く、都心にいながらのんびりと自然を楽しむこともできます。中でも常磐橋公園は、江戸時代に城門の城門橋門があった場所で、季節によって桜祭りや夏の納涼祭などのイベントが開催されています。また、堀留町公園の隣にある堀留町児童館では、定期的に家族で参加できるイベントが開催されています。
また、三越前周辺には「三井記念美術館」「千疋屋」「日本橋高島屋」「丸善」のギャラリーがあり、アートに触れる機会も多いです。治安が良く、最近では再開発によりマンションや大型商業施設が増えてきた影響からか、以前よりも若い世代が増えているようです。
三越前周辺のグルメ
三越前周辺には、歴史を感じさせる老舗から、再開発がもたらした比較的新しい店舗までバリエーション豊かな飲食店がそろっています。東京観光の名所でもあり歴史ある街だけに、高級店も多いです。
老舗が軒を連ねる「むろまち小路」
昭和通りと中央通りに挟まれた「むろまち小路」は、古くからこの地で営業する飲食店が多いことでも知られています。裂きたて、蒸したて、焼きたてを信条とした江戸前の蒲焼が楽しめる「うなぎ伊勢定本店」や、1948年創業の喫茶店「ミカドコーヒー」、コシの強い蕎麦とこだわりのつゆで創業からの味を守り続けている蕎麦屋「利休庵」など、永い歴史をもつ老舗が、令和の時代にも伝統の味を伝え続けています。
ちなみに「むろまち小路」は、電線を地中化し、さらには路面を石畳にすることで、江戸の粋と品格を受け継いだ風情ある通りとなっています。魚市場発祥の碑や、5つの層が江戸・明治・大正・昭和・平成を表した「時層の門」は、この通りのシンボルです。
ミシュランガイドでもおなじみの高級店
大人の街というイメージも強い三越前には、高級店も多いです。先述の日本橋三井タワー内マンダリンホテル東京では、中華料理店の「センス」、フレンチの「シグネチャー」、モラキュラー キュイジーヌ「タパス モラキュラーバー」が、近年連続してミシュラン1つ星を獲得しており、ホテルとしても高い評価を受けています。また、素材にこだわり季節感に満ちた料理をいただけるフランス料理店「ラペ(La Paix)」や、目にも美しく味わい深い一皿が楽しめる「ASAHINA Gastronome」など、ミシュランガイドで見かけたことのある高級店も充実しています。また、コスパのよい店に与えられるピブグルマン獲得店も多数あり、サービスや味が評価されているクオリティの高い飲食店に恵まれています。
オフィスワーカーのランチにも最適な人気店
ビジネス街でもある三越前周辺は、平日のランチも盛況です。レトロな空間で日替わりの洋定食が楽しめる「TOYO」や、本格的なフレンチがランチ価格1,000円からいただける「レ ロジェ ビストロ ド ロア」、絶品の和牛料理と雲丹料理がランチでも堪能できる「本橋 加藤の肉丸 小川のうに丸」など、枚挙にいとまがないほどバリエーション豊かな飲食店がそろっています。
どんな飲食店がある?(1km圏内)
江戸の風情を引き継ぐ三越前には、和食店が1,462件、居酒屋が1,103件あります。古くから続く老舗や、観光客や周辺オフィスワーカーたちが立ち寄りやすいお店が多く、カフェは323軒、中華料理店、フレンチ、イタリアンなどは200軒台となっています。
どんな業態が出店チャンス?
三越前に出店している業態でもっとも多いのが『和食』と『居酒屋』の2ジャンルです。数が多いということは、地域に需要があるということでもあるため、和食や居酒屋であればある程度の需要は期待できそうです。また繁盛店の近くに出店すると集客しやすいというメリットがあるため、同じジャンルの人気店の近くに店を構えるのもおすすめの戦略です。