世田谷区の中央部に位置する三軒茶屋は、繁華街として賑わいを見せるとともに住宅地として人気の高い街です。オシャレな街としても知られていますが、その背景には「渋谷に近い」あるいは「住人に芸能人が多い」などの理由があります。こんな街のイメージに偽りはなく、三軒茶屋はカフェブームの火付け役としても有名です。しかし街の魅力は、カフェだけにとどまりません。商店街には不思議なムードが漂い、パンの味にも定評があります。そこで今回は、この街を語るうえで欠かせないカフェ・商店街・パン屋についてご紹介します。
カフェと商店街とパン屋は外せません
三軒茶屋の範囲は、三軒茶屋1丁目と三軒茶屋2丁目です。町名にふさわしく、街には多くのカフェが見られます。商店街やパン屋も魅力にあふれており、街の散策を始めたら1日では足りないでしょう。
アクセス環境はとても良好
この街に訪れるなら三軒茶屋駅にアクセスすると便利ですが、駅の所在地は三軒茶屋でなく世田谷区太子堂です。
三軒茶屋駅には、東急田園都市線と世田谷線が乗り入れています。東急田園都市線は神奈川県大和市の中央林間駅と渋谷駅を結び、渋谷駅からは東京メトロ半蔵門線、さらに押上駅を経由して埼玉・群馬方面に向かう路線へと直通しています。一方、世田谷線は三軒茶屋駅と同じく世田谷区内にある下高井戸駅を結びますが、そこから新宿駅~京王八王子駅間を走行する京王線に接続可能です。ほとんど電車を乗り換えずに多くの地域から訪れられる駅であり、アクセス環境には恵まれているといえるでしょう。
主要幹線道路は、いずれも神川方面から国道246号線(通称「玉川通り」)と世田谷通りが通じています。普段、田園都市線を使って通勤・通学している人は、自動車に乗って遊びに来ると気分転換になるかもしれません。
町名の由来は実在の茶屋
「三軒茶屋」は、その名の通り江戸時代に営まれた三軒の茶屋に由来します。江戸時代の中期を過ぎると社寺参詣が盛んになり、この街に伸びる大山道(現国道246号)と登戸道(現世田谷通り)は多くの参詣者により活気を帯びました。このような状況のなか、ふたつの道が交差する辺りに「信楽(後の石橋楼)」「角屋」「田中屋」の三軒が店を出したのです。江戸時代後期の文化文政時代(1804~1830年)には、三軒茶屋の名は人々に浸透していたといわれています。
そもそも茶屋が日本において一般化した時期は、中世頃と考えられています。最初は休憩場所として利用されていましたが、後にお茶なども提供する飲食店へと発展しました。三軒茶屋に開店した茶屋は座敷などがあり、現在の料亭にあたる「料理茶屋」に分類されています。
独特の雰囲気を持った街並み
玉川通りと世田谷通りの交差点に出ると、目の前には三軒茶屋ならではの光景が広がります。オシャレなお店が並ぶなか、昔ながらの商店街も残っているためです。
「カフェブーム発祥の地」とも呼ばれる三軒茶屋において、カフェはオシャレを象徴する存在といえるかもしれません。コーヒーやスイーツは絶品と評され、自家製プリンを提供しているお店もあります。店によってはコーヒーの素材や照明の明るさにこだわり、雰囲気を重んじて客の年齢層を限定している場合もあります。一方、愛犬も入店可能、あるいはランチタイムにカレーが味わえるなど各店とも個性豊かな工夫をこらしています。骨休めのためのコーヒーブレイクにも適していますが、ランチタイムに来店してもカフェ特有の落ち着いた雰囲気のなかで過ごせるでしょう。
そんな空間に同居しているのが、戦後から続く「エコー仲見世商店街」や「すずらん通り」です。メインの通りでも道幅が広いとは限らず細い路地まで商店が並ぶので、足を踏み入れて良いか迷う通りや迷路のように感じる場所もあります。地元の人でないと歩くのに苦労する恐れはありますが、老舗の和菓子屋から若いオーナーがリニューアルしたバーまでバラエティー豊かなので、どの道を進んでも目を楽しませてくれるでしょう。
きれいなカフェも気になると思いますが、せっかく三軒茶屋を散策するなら新旧が入り乱れる商店街の制覇を目指しても面白いかもしれません。
どんな飲食店がある?(1km圏内)
三軒茶屋で一番多い飲食店は居酒屋で292件です。その次に和食 251件と続き、上位ふたつの飲食店だけで全体の半数近くを占めています。全体のBAR は156件、イタリアン・フレンチも110件、カフェ113件もあるので、さまざまなジャンルのお店が集まっている印象です。
どんな業態が出店チャンス?
三軒茶屋で新たに飲食店を出店するのなら、比較的多数の出店が見られる居酒屋もしくは和食をおすすめします。なかには、レアなお店での出店を狙っている方もいるかもしれません。しかし、繁盛店ならすでに認知度が高いので、集客効果も高いでしょう。