飲食店開業の投資コストで大きな部分を占める、内装工事。
発注先の店舗デザイン・内装会社を選ぶにあたって、最低限の知識がないと何百万という大きな損になってしまうこともあります。
それどころか、最悪のケースでは開業自体できなくなってしまう方を目の当たりにしたこともありました…
そんな大きな損やリスクを孕むことがあるのが、店舗の内装・デザイン。
はじめての飲食店開業では、メニュー作りや集客などに気を取られる。もしくは理想の内装・外装のデザインを思い描いても「どう実行するのか」が抜け落ちてしまい、内装工事にそこまでの危機意識を持ってない方も散見されます。
このようなリスクが起こる原因は主に2つあります。
1つ目は、”業者選びは思った以上に時間がかかる”
「あ、内装会社を探さないと」
飲食店の出店で、そう思い立つのはいつでしょうか。
良い物件にめぐり合って出店時期のメドがついてから内装業者を探す、これでは完全に遅いのです。店舗工事の発注までには、これだけの工程が必要。
- 内装会社を探す(ウェブ検索・紹介など)
- 問い合わせ・打ち合わせ日調整
- 打ち合わせ・内装会社からのヒアリング
- 店舗物件で現地調査
- 内装会社から提案を受ける
- 検討
- 発注
もし内装業者を見つけるのに時間がかかる、もしくは考えている内装を完成させるための工期が思った以上に長くかかったら?
予定日に店舗はオープンできず、売上は立たずに家賃だけ支払い、スタッフを雇用していたらその人件費まで発生…
およそのどの物件でも契約後から賃料は発生するので、「1日でも早くオープンできないか」とオーナー様が考えるのは自然なこと。
「発注までの正しいスケジュール感がないとリスクを孕む」ことをご理解頂けたかと思います。
2つ目は、”正しい選び方が分からない“
内装会社といっても得意分野や方法はそれぞれ異なり、明確な金額も事前には分かりにくい業界です。
家電製品と違って、今現在カタチがない内装発注は難しいもの。しかもほとんどの方は店舗内装の発注経験などないのでなおさらです。
自分が目指しているお店をつくるために、どのような会社を選ぶべきか?選ぶ基準は?
はじめての開業で、正しく業者を選べる方はほとんど見受けられません。
そこで今回は、時間やお金をロスしないための”内装業者選びの知識”をまとめました。
「内装会社ってネットで探せばいいの?」
「どんな内装会社を選べばいんだろう?」
「複数社に見積もり(相見積もり)をお願いすべき?」
「知り合いの業者にお願いするのが一番いい?」
物件契約前に知っておくべき業者選びのノウハウを解説します。
店舗の内装会社・デザイン設計事務所・工務店などそれぞれの違い
内装会社と言えど、業務内容や得意分野や価格帯などがそれぞれ異なります。
物件の規模・業種・施工内容・価格などにより、適切な内装会社を選ぶべきです。
まずは同じ内装会社でも、どのような違いがあるかを解説します。店舗内装・デザインの業者は、主に3種に分類されます。
1・デザイン専門の設計事務所
デザイン及び設計業務のみを行う。
設計と施工を切り分けています。設計し(デザイナー)が所属し、デザインを起こし図面をつくります。その図面をもとに施工会社が工事のみを行います。
設計会社と施工会社が別になるので、設計が完了してから施工業者の選定・見積もりをする必要があります。設計・施工を一括で依頼した場合と比べ、工事完了までの期間がかかります。
デザイン性のある提案に対する付加価値が発生するため、工事とは別に設計費やデザイン費が必要となります。
メリット
- デザイン性の高い設計ができる
デメリット
- 総工費が高額になりやすい
- 工事完了まで時間がかかる
2・設計と施工を行う内装会社
自社で設計から施工までを行う。
自社で職人を抱えていない場合は下請けや職人へ依頼するため、工務店へ直接依頼するより費用がかかります。
設計・施工を一括して行うため、設計から工事までの流れがスムーズに行われます。
工事完了までの期間が短くなるため、早く開業することができます。
メリット
- 1社で設計から施工まで行うため、予算に応じた提案ができる。
- 仕様変更などにも柔軟に対応できる。
- 施工業者の選定が不要なため、設計開始から工事完了までの期間が短い。
デメリット
- とびぬけたデザインはできない
- 施工は職人を手配して行うため、価格はほどほど。
3・施工メインの内装会社(工務店など含む)
デザインや提案に力を入れておらずデザイナーなども抱えていません。発注オーナー自身が、依頼前にどのような工事をするか明確にしておく必要があります。
直接の依頼になるため、価格を抑えることができます。
メリット
- デザインや監修価格が安い
- 現場対応力が優れている
デメリット
- 提案力、設計力が弱い
内装会社の選び方
それぞれ以下のように選ぶことをオススメします。
- 予算的にも余裕がありデザイン性を追求したい
⇒デザイン会社
- 施工箇所が決まっており、価格を抑えたい
⇒施工メインの内装会社
- 予算がそれなりでプランやデザインのイメージが固まっていない
⇒設計から施工までをおこなう内装会社
それぞれの特徴を理解して選ぶことが必要です。
デザイン専門 | 設計+施工 | 施工専門 | |
デザイン | ◎ | 〇 | △ |
価格 | △ | 〇 | ◎ |
はじめての出店であれば、「設計から施工までを一貫して行える内装会社」がオススメ。相談窓口が1つのため、手間がかからずトラブルが起きにくいのです。
また、その中でも飲食店・オフィス・アパレルなど、それぞれ会社によって得意分野があります。
内装会社のホームページで施工実績も確認して、選定されることをお勧め致します。ただし、紹介で仕事がどんどん入ってくる実力のある内装会社はウェブサイトの施工実績まで手が回っていない場合もあるので、サイト上の情報はひとつの判断材料と捉えておきましょう。
内装会社の探し方
内装会社の探し方にも、それぞれ一長一短があります。
自店にとって、適切な方法を選びましょう。
知り合いや専門家からの紹介
メリット
- その会社の実績や信頼がある程度担保されている。
- 内装会社を探す手間が省ける
デメリット
- 自分と相性が合わない場合でも断りにくい
- 相見積もりをお願いしづらい
インターネット(比較サイト)
メリット
- 気軽に声をかけやすく、相見積もりしやすい
- 多くの会社から選ぶことができる。一括比較機能も。
- コンペティション形式で複数提案を同時に受けられる
デメリット
- 実績はウェブ上だけでしかわからず、信頼性について必ずしも担保されていない
- 一括比較やコンペ形式だと何十社からメール・電話で連絡が来るケースがある
- 実績の乏しい会社がコンペに参加する可能性がある
- 比較サイト運営会社の手数料が価格に上乗せされる
内装会社を正しく選ぶポイント
具体的に内装会社を選ぶポイントを解説していきます。
得意分野や過去の実績
飲食店に強い、オフィスに強い、アパレルに強いなど、内装会社によって得意な分野があります。ホームページなどで施工写真や実績などを確認しましょう。
とくに飲食店は水光熱などのインフラ基礎設備が重要なため、許可申請なども含め設備の専門知識が必要となります。
例えば、吸排気の知識に乏しい内装業者が施工した店舗で「調理時に出る煙を吸いきれず、店内に煙が充満した」なんて話も聞きます。
リスクを減らすには、飲食店の施工経験豊富な会社に依頼することが一番です。
設計・施工事例を見る
内装会社には中小企業も多く、ウェブサイトに施工実績を写真でアピールするまで手が回っていない企業もあります。
更新頻度が低いからといって、店舗の受注経験が少なく人気がない会社とは限りません。施工の内容が良く、紹介メインで仕事を受けている会社もあります。
過去の施工事例に1つでも良いと思うものが見つかれば、1度は担当者と会ってみましょう。
相見積もりを取るべきケース
1社ではなく、複数の施工会社から相見積もりをとるべきケースは3つほどあります。
①デザイン会社にデザインだけ依頼し、施工会社は別途選ぶ場合
提示した内容で施工してもらえば良いため、「価格面で比較できる」相見積もりを行います。
②予算感がなく価格を判断しにくい場合
提出されたプランが価格的に適切か判断しにくいケースでも、相見積もりを行います。
複数社を比較検討することで「見積り額の相場観を養う」ことができます。
③複数社からプラン提出を受けることにメリットがある場合
「まだ内装やデザインにぼんやりしたイメージしか無いから、色んなプランが見てみたい」
「なんとか100万円でおさめたいけど、できる会社いないかな」
複数社を検討することでさまざまな可能性を探ることができます。ただし、完全に価格重視の場合は譲れない予算規模など前もって伝えておくのがマナーです。
・相見積もりが必要ないケース
依頼する内装会社がほぼ決まっている場合。
1社指名で依頼することで、柔軟にかつ優先順位も高く対応してもらえやすくなります。
3社の相見積もりと1社の指名では、内装会社にとってその後の受注率が全く異なります。確実に仕事になると分かれば、手厚く対応してもらいやすくなるのは当然と言えます。
見積もり書の見方・注意点
見積もり金額の総額だけを見るのではなく、1社1社から各項目について説明を受けることが重要です。
各社ごとに少なからずプランが異なるため、提案金額に差が出るのは当たり前。プラン内容と見積もりはセットで見るものです。
具体的にはプラン説明をうけながら、以下のことを確認しましょう。
- プランが自分の意図をくみ取ったものか
- 担当者が丁寧に対応してくれるか
- 追加で発生する可能性のある費用は何か
では見積もり内容が各社で異なるとは、どんなケースが考えられるでしょうか。
例えば「A社ではイス・テーブルを含んだ見積もり額」が提出され、「B社からはイス・テーブルは別途購入という内容」で出てくる場合も。
見積もりの項目に含まれている内容の”差分”を確認しましょう。
引き渡し後のアフターケア
通常、瑕疵担保(※)期間は1年になります。
※瑕疵(かし)とは通常、一般的には備わっているにもかかわらず本来あるべき機能・品質・性能・状態が備わっていないこと。
契約書の規約によって左右されるため、契約前に期間について確認しましょう。
お店をオープンした後、営業に支障が出るような瑕疵があった場合は、施工業者に修繕を無償で依頼できます。しかし、全てが瑕疵担保責任に含まれるわけではありません。
例えはオープン3日目に扉が壊れたケースでは「もともと問題があった=瑕疵」と認められますが、1年後に扉が壊れたケースでは「単に使用が乱雑であった可能性」も否めず瑕疵とは認められにくいでしょう。
登録や許可
内装施工会社が、デザイン設計業務を請けたり、内装工事を受注するには、必要な登録や許可などがあります。
設計やデザインであれば
- 建築士事務所登録(内装設計だけであれば必要がない場合が多い)
施工であれば
- 一般建設業許可(各都道府県知事許可)請負金額4000万以下
- 特定建設業許可(国土交通大臣許可)請負金額に制限が無い。
があります。
設計で重要なのは、「資格の有無と過去の実績」。
飲食店の給排気や給排水設備は、アパレル店やオフィスよりも大掛かりなものになり、どのような業種・店舗を手がけてきたかによって強みが異なります。大手チェーンの仕事実績が多い業者=独立中小店舗も得意、とも限りません。
はじめての飲食店開業であれば、中小規模の飲食店施工経験が豊富な会社に依頼することが、リスク軽減に繋がります。
施工に関しては受注できる金額が法律で決まっているため、建設業許可を取得している会社に発注することをお勧めします。
500万円以下の工事であれば、建設業許可をもっていなくても受注可能です。信頼できる施工業者かご判断され依頼されれば良いです。
中小店舗を得意としている施工業者の中には、500万円以上の受注がほとんどないため建設業許可をわざわざ取らずに営業している会社もあります。
建設業許可を持っている=信頼できる、建設業許可を持っていない=信頼できない、というものではありませんので、個別に判断しましょう。
請負業者賠償責任保険
工事会社が「請負業者賠償責任保険」に入ってるか確認しましょう。
請負業者賠償責任保険は、損害賠償責任を負う事故が起きてしまった場合に補償されるものです。
- 工事中に他テナントへ漏水させてしまう
- 職人がケガを負ってしまう
- 居抜きで譲渡された厨房機器が工事が原因で壊れてしまう
この保険加入していれば、このような非常事態が起こったとしても、保険による補償で工事が続行できます。
万が一未加入の場合、損害賠償の支払のため工事業者が身動きがとれなくなってしまう可能性があります。
例)施工業者が内装工事の際に、ガスの配管を誤って破壊。零細業者だったこの施工業者は保険に入っておらず、工期に遅れが発生。
理想のお店作りの準備
前述では、どのようなデザイン・内装会社を選ぶべきか解説してきました。
続いて、発注先の内装会社に「どのように自店のイメージや要望を伝えるべきか」解説します。
自分のイメージぴったりに作ってもらうために
内装の雰囲気だけでなく、店舗運営の現場でどのようなオペレーションになるか、あわせて伝えることが重要。
伝えるべきことを項目で分けましたので、1つずつご確認ください。
内観・外観
自店のイメージに近く参考にしている店があれば、写真やウェブページなどを共有します。
その上で内装会社からヒアリングを受けます。
イメージしている店舗をもとに、使用する素材や質感などを確認し、方向性を明確にしていきます。
イメージしている店がなければ、どんな雰囲気の店にしたいか担当者に伝えます。
内装会社からヒアリングがありますので、イメージを膨らませる材料をなるべく多く渡します。以下に一例を挙げてみます。
- 想定している「メインの」顧客像は
- 好みの色や素材
- どのような営業スタイルか
- 客単価はいくら位か
- ワイワイした感じか、しっとりした感じがいいか
内装会社からデザインの提案をうけ、イメージを固めていきます。
席数・配置
どのようなスタイルで営業したいか担当者にコンセプトを伝えましょう。できるだけ具体的な営業イメージを想像したうえで伝えるのがポイントです。
席は配置だけでなく、席数自体も重要です。
席数によって売上の上限が決まるため、事業計画書で必要な席数を確認して伝えるようにしましょう。
また、席間隔によって顧客の滞在時間や回転率にも影響がありますのでご注意ください。
例えば同じチェーン店でも、ドトールコーヒーやマクドナルドなどの「短期滞在型の店舗」と、ルノアール・珈琲館・コメダ珈琲などの「ゆっくり滞在型の店舗」では席間隔は異なります。
安価な居酒屋と高級割烹・寿司店などでも、その席数・配置はかなり異なりますよね。
厨房・ホールのオペレーション
オペレーション人数と役割によって、最適な動線は異なります。
例えば、2名で店をまわす場合。
1名が調理、もう1名がホール+ドリンクを担当するとします。
厨房手前側にドリンク場を準備し、ホールと行き来しやすいように。一方で調理担当者は奥で集中できるよう配置します。洗い場を真ん中に配置し、空いている方が対応できるようにします。
どのようなオペレーションにするかによって使い勝手の良い配置が違います。
また、独立前の勤務先・修行先の店と似た動線にする開業者も。
今まで通りの慣れた動作で調理できるため、違和感がなく使いやすいようです。
そのため、担当者には以下のことを伝え、使いやすい店舗デザインをお願いしましょう。
- オペレーションが何人か
- どういった役割分担か
- 使用したい厨房機器
- 前の店の配置を真似したい箇所
予算に合ったプランをもらうために
まずは自分自身が「予算感」を最低限は持っていないと的確な判断ができません。
せっかく良心的な見積もりを出してもらってもその価値に気づかなかったり、いわゆる「価格でボラれてしまう」逆のケースもあるかもしれません。
そのために、同じ要望で複数社の見積もりをとってみましょう。
出てきた結果から、おおよそ自分の予算で実現可能な範囲がわかるはずです。
(※各社ごとにプランや見積もり内容が異なるため、担当者の説明を受けた上で見比べましょう)
もっとも安い提案にも、自分の予算が足りていないようなら、予算を正直に内装会社に伝え、再度提案をしてもらうこともできます。建材や設備の見直しなどで、要望に近い金額で出してもらえる場合もあります。
それでも厳しいようであれば、資金面の見直しや物件を選び直すという選択も物件契約前なくありません。
店舗内装工事のよくある質問
住宅と違い、店舗デザインや内装工事に携わる機会はなかなかないため、はじめての方は正直わからないことだらけだと思います。
疑問を抱えたままでは、判断スピードが鈍ってしまいます。
内装工事の基礎知識としてよくある質問を集めましたので、疑問点の解決にお役立てください。
いつお金(請求)が発生しますか?
デザインだけの設計会社はプラン提示でお金が発生する場合もありますが、見積もりは無料で行っている会社が大半。
基本的に請求が発生するのは、契約後。一般的に発注代金は分割で支払います。
一例として「契約時」「工事の中間時」「引き渡し時」それぞれのタイミングで、契約金額の1/3ずつを支払います。
ただし、引き渡しの際には追加工事や減工事(やめた工事)を清算するため、金額が上下します。
着工から引き渡しまでの施工期間はどれぐらい?
物件や施工内容により大きく異なります。
看板をつけるだけなどの小さな工事だけであれば、1〜2日。50坪スケルトン物件の新装工事であれば、45日程度かかります。
オープンまでの希望スケジュールは、早めに内装会社に伝えましょう。日程として無理がある場合も、早めに知ることができます。
基本的にはオープン日に合わせ逆算で日程を組んでもらいます。
期日が迫った工事では、多くの業者・職人を動員する必要があるかもしれません。大型物件であれば多くの業者・職人を動員し工期を短縮することもできますが、小型の物件では工期短縮は難しいケースが大半です。
10坪ほどやそれ以下の小型物件では業者・職人を大人数動員しようにも、中での作業ができないため、工期は短縮できません。
また、大勢の業者・職人を動員して工期を短くする場合は経費が多くかかりますので、工事金額も高くなる傾向があります。
ショッピングセンターなどの商業施設や特定のビル・建物によっては、日祝日の工事不可や夜間工事のみなどの工事条件がある物件も。それによっては工期が予定よりかかる場合もあります。
できる限り、低予算で施工はできる?
自身の予算感を早めに伝え、予算内でできることを提案してもらいましょう。むしろ、予算に制限がある場合は「やらないこと」を思い切って判断していくべきです。
また、発注先は、デザイン専門の設計事務所ではなく、設計・施工を行う内装会社か施工メインの内装会社を選びましょう。
やりたいことがはっきりしていて、かつ項目が少なければ、施工メインの内装会社を選ぶことで価格面のメリットがでやすくなります。
図面が必要だったり、項目が多く全体の取りまとめが必要な場合は、設計と施工を行う内装会社に依頼することをおすすめします。
仕上がりイメージは事前に確認できる?
スケルトンや居抜きで店舗デザインを大幅に変更する場合は、パース(完成イメージ図)などを作成してもらい、でき上がりのイメージを確認させてもらいましょう。
店舗工事を行う際、家主や管理会社へ確認は必要?
ほとんどの物件で、不動産管理会社からの工事承諾が必要です。
そのための必要書類と、承諾の審査にどれぐらいの日数がかかるか確認します。
管理会社によっては専用フォーマットがあるため、早めに確認しましょう。
必要書類は内装会社に伝え、用意してもらいます。
- 各種図面
- 工程表
- 外観パース
- 仕上げ表
- 工事内容
などが求められます。
内装会社選びの失敗例
内装工事のトラブルはけっして他人事ではありません。
前述の通り、業者選びの知識や契約前の確認が少し不足していただけで起こり得るものです。
最初の見積もりになかった追加費用が発生し、投資コストが上がる
イタリアンレストランの開業のため、スケルトン物件を検討。
内装業者に概算見積もりを依頼し、予算内に収まる金額だったため、物件を契約しました。
内装業者と改めて詳細な打ち合わせを行なった上で、正式な見積もりを出してもらったところ、なんと300万円も増額!
原因は見積もり項目の齟齬。
依頼者は「棚がほしい」「ワインセラーを置きたい」と伝えていたため、見積もりに入っているものだと思っていました。
しかし、実際は見積もりには含まれておらず…
内装業者は以下のように説明。
「概算はあくまで概算です。」
「詳細が決まっていなかったから、当初の見積もりには入っていませんでした。」
「ワインセラーを置くとは聞いていましたが、お客様ご自身が買うものだと思っていました。」
「見積書にはちゃんと「別途」って書いてあるでしょ?」
物件は契約済みのため、家賃も既に発生。
他にアテもなく、ギリギリ払えない金額ではなかったので、発注したものの想定より多額に。
見積もり項目についての説明は必須ですが、あえて省いて安く見せようとする内装業者も。
見積書や契約内容の説明を嫌がる会社は要注意です。
店舗に不慣れな会社に依頼したために扉が開けづらい
知り合いの大工さんに依頼。
お店のオープン後、お客様から「ドアが重いね」と指摘されるように。
依頼した大工さんが普段は住宅メインでやっていたため、飲食設備の知識が不足していました。
給排気のバランスが崩れ、扉が開けづらくなっていました。
ガスレンジなどの熱機器からどの程度排気が行われ、それに見合う給気を行うにはどうすればいいか。
飲食店の施工には特有の知識が必要となります。
店舗をメインに扱っている業者のなかで、特に飲食店の施工を多く手掛けているところを選びましょう。
工事が始まらず、オープンできない
月はじめの着工予定で内装会社と何度も打ち合わせを重ねたうえで、物件を契約。
しかし、予定日を10日過ぎたところで内装会社が「ガスの容量が足りないため、工事できない」と言い、逃げ腰に。
原因は、内装会社による事前のチェック不足。
現地調査時に設備のスペックや容量を十分に確認せず話だけが進んだ結果、新たに内装会社を探すことに。そこで弊社にお見えになりました。
再度打ち合わせなどを行う必要があり、予定したスケジュール通りに進むことは不可能。手遅れでした。
内装会社・店舗デザインの検討ポイントまとめ
- 店舗内装の業者は、3種に分類され特徴を理解して選ぶことが重要
- はじめての出店であれば、設計から施工までを一貫して行える内装会社がおすすめ
- 飲食店の施工経験豊富な会社に依頼することがリスク低減に繋がる
- 内装会社には内装のイメージだけでなく、オペレーションや営業イメージも伝える
- 相見積もりでは金額だけを見ず、担当者から説明を受けプランとセットで検討する
1番適切なコストで理想に近い店舗をつくるためには、内装会社を正しく選ぶ必要があります。
自分の予算とやりたいことを把握し、適切な会社を見極めましょう。