空き店舗率の状況は?
中小企業庁発表の『2017年版中小企業白書』によると、商店街の空き店舗の割合は2003年に7.3%であったのが、2012年には14%超に。また、同庁の『平成27年度商店街実態調査』(2016年発表)では、全国の商店街の平均空き店舗数は5.3店。地方都市では、いわゆるシャッター商店街やビルの空き店舗など、遊休物件が増加しています。新規出店の誘致や補助に積極的な自治体
こうした問題を解決するために、商店街の空き店舗などを活用して、新規出店の際の賃借料や改装工事費等を助成し、他地域からの新規出店や商店街の活性化を目指す自治体が増加中。ここでは、その取り組みについていくつか事例をご紹介します。新潟県三条市の三条中央商店街「三条マルシェ」は、商店街活性化のため、三条マルシェ実行委員会が主催(同市と商工会議所が共催)するマルシェを主としたお祭りで、他地域からの出店も奨励。食品販売や飲食など出店料は4000円から。マルシェ出店後、三条市の空き家改修事業等補助金(新規出店事業)を利用して、2013年からの2年間で他地域から6店舗が新規開業したそうです。2017年はすでに5回実施し、のべ110,800人が参加。年内はさらに2回のマルシェを予定しているそう。
また、兵庫県の「ひょうご産業活性化センター ふるさと起業・移転促進事業」では、UJIターンにより兵庫県内に移住し起業する場合(県外からの移住も対象)、企業や事業所移転に要する経費と移住に要する経費を各100万円以内、合計で200万円以内、さらに空き家を活用する場合は空き家活用に要する経費100万円以内を補助(9月28日まで募集中)。さらに、この助成金とは別に、300万円を上限とする無利子の貸付制度「ひょうごチャレンジ起業支援貸付」も活用できます。
都内の空き店舗活用について
飲食店.COMは、サイト上に公開中の空き店舗物件と飲食店データをもとに、東京23区内の「飲食店の空き店舗率が高いエリア」を調査。空き店舗が最も高いエリアは杉並区(5.69%)、続いて文京区(5.43%)、中野区(5.19%)。最も低いエリアが江東区(2.4%)という結果でした。都内でも、空き店舗活用や商店街の活性化のための創業支援プログラムがあります。先の調査で空き店舗率が2番目に高かった文京区は、チャレンジショップ支援事業として、店舗の月額賃借料の2分の1(上限月額5万円)を12カ月間助成するほか、中小企業診断士を3年間無料で派遣するプログラムを毎年提供しています。昨年はカフェや惣菜店など6店舗が支援対象となりました(今年度の募集は終了)。
東京都・公益財団法人東京都中小企業振興公社による商店街起業・承継支援事業では、内装工事費や広告宣伝費など事業所整備費に関わる費用の3分の2以内(上限150万円)、賃料の3分の2以内(1年目月額12万円、2年目月額10万円まで)の助成を行っています。こちらは2018年1月15日(月)まで申請を受け付けているそうです。
また、東京都八王子市では、地元商店街関係者により立ち上げられ、空き店舗対策やイベント事業、中心市街地の活性化促進などを手掛ける株式会社まちワイが、チャレンジショップの「はちチャレ」を運営。1日3,000円から、スイーツ販売店などのテストショップを出店することができます。
飲食店を新規出店、そして経営を安定させていくためには、賃料をなるべく抑えて利益率を上げていく必要があります。東京都心は依然として家賃が高い傾向にあり、個人店にはそれが大きなハードルとなっております。上で挙げたような支援制度を利用すれば、開業にかかる初期費用を減らせると同時に、月々の賃料も安く抑えることが可能に。集客面でフォローをしてくれる自治体もあるので、開業の際の選択肢の一つとしてみてはいかがでしょうか。