物件選びについて知ろう
■「幅をもたせる」がキーワード飲食店の物件探しは、一言で言うと「難しい」です。なぜなら、事業計画にぴったりな物件は、繁華街の一等地の路面であるかもしれず、また、裏路地の古民家かもしれない。しかし、希望する場所でイメージに合う物件はそうそう見つからないからです。そのため、事業計画の時点で「この街で、こういう通りで、こんな店を」としっかりとイメージングしつつ、その通りの物件が見つからなかった場合のために「幅をもたせる」ことも大切です。
■居抜き物件を探す際は、「何を妥協できるか」をクリアにしておく
スケルトン物件ならば「立地」「階」「広さ」が合っていれば、ある程度のアレンジがききます。
一方、居抜き物件を狙う場合は、「理想の物件を待たないほうが良い」とも言えます。言葉を変えれば、見つけてきた良さそうな物件に合わせ、価格帯や多少のスタイルを変えるくらいの柔軟さが必要ということです。そのためには、自分の描いたヴィジョンの、「何を守るべきで、どこを妥協できるのか」をクリアにしておきたいものです。
物件選びの流れ
■店舗の事業計画作成〜物件契約まででは、実際にどんな流れで物件取得まで進むのかを確認しましょう。最初に、店舗の事業計画を立てます。
・自分が売りにするものは何か
・それをどこで、いくらで売るか
・どういった客層がどのくらい来てほしいか
・どの程度の客単価にするか
・どれぐらいの頻度でリピートしてもらいたいか
これらの項目を明確にし、希望の場所と広さ、家賃を割り出します。そしてそれを不動産店向けの書面にまとめましょう。家賃の相場がわからなければ、先に不動産店に相談し、立地ごとの坪単価を聞いておくのも良いでしょう。
不動産店から希望する物件の情報が入るのは、相談に行った直後かもしれませんし、1年後かもしれません。しかし、種を蒔かないと芽は出ないもの。ターゲットとしているエリアの不動産店には早めに問い合わせをしましょう。
物件が空く予定になると、不動産店が該当するお客に連絡をくれます。少しでも気になった物件はとにかく中を見てみましょう。そこからアイデアが生まれてくることもあります。また、居抜き物件の専門サイトの情報はまめにチェックしておきましょう。商圏と業態、席数、内装、営業年数と、参考になる情報が非常に多いです。
内見が終わり、次は契約です。物件について、わからないことは不動産店を通じ、大家さんに事前に聞いておきましょう。
物件選びのポイント
では、どのようにすれば自分の希望に近い物件、自分の事業がうまくいきそうな物件を選ぶことができるのでしょうか? 以下のようなポイントが挙げられます。■事業計画にあった物件を選ぶ
まず、何を差し置いても事業計画をしっかりと練り、それに合った物件を選ぶことが大切です。自分のほしい客層は地元の方なのか、他の街から来た方なのか? 予約重視か、フリー客重視か? そういったことを考えながら、希望の立地を絞り込みましょう。
■ターゲット層にあった物件を選ぶ
昨今では、ママ層やシニア層を狙うお店は、必ず路面か、エレベーターのあるビル内にあります。もちろん、道路からのアクセスが良いからです。階段があるだけで、入店をやめるママやシニアは、とても多いので要注意です。また、仕事帰りのワーキング層を狙ったバーや居酒屋などなら、地下や2階なども落ち着くので人気があります。
さらに、ビルの4階や5階といった物件は、1階にある店舗のイメージによって集客が変わることがあります。物件によっては、エントランスが地味すぎ、ビルの上に店舗があることがわかりにくい場合もあるので注意しましょう。
■資金計画にあった物件を選ぶ
事業計画で適正な家賃を割り出したら、今度は保証金を調べます。大家さんの考えにより多少異なりますが、保証金は「家賃10ヶ月分」という物件が多いです。駅前の好立地物件などは、もっと高額の保証金を取るところもあります。
この保証金は、償却はあるものの大部分が返ってくるお金です。そのため、保証金のための融資は、受け付けない金融機関が多いので要注意です。とはいえ、保証金が準備できないのを理由に理想の物件を諦めるのは、大変もったいないこと。物件の契約終了時には必ず戻って来るお金ですので、周囲に協力を呼びかけてもよいかもしれません。
いかがでしたか? 物件の取得には、大きなお金と責任がかかります。かといって慎重になりすぎると、いつまでたっても取得ができません。綿密な計画と、ダイナミックな決断力が重要だと言えそうですね。