開業初期の家賃の補助金
東京都港区では、6月と12月の年に2回、「新規開業賃料補助金」の受け付けをしています。これは月額賃料の3分の1(最大5万円)まで、1年間の補助が受けられる制度です。主な要件としては、創業1年未満であること(例えば、平成30年2月期に申し込みをする場合は、平成29年2月1日から平成30年1月31日までに創業していること)、港区内に事業所があること、住居と兼用していないことなどが挙げられます。また、商工相談員または創業アドバイザーの支援を受けて作成した創業計画書が必要で、募集枠は最大25件まで。場合によっては抽選になることもあるようです。江東区には、「創業支援事務所等賃料補助金」があります。製造業以外の場合、最初の2年間に月額賃料の4分の1(1年目は最大5万円、2年目は最大3万円)までの補助が受けられます。ただし募集枠は製造業が2件、製造業以外が3件と港区に比べると少なめとなっています。
賃料補助は東京だけでなく、もちろん全国各地にもあります。大阪府吹田市の「創業支援型事業所賃借料補助金」、長野県松本市の「新規開業家賃補助事業」など、自治体によって申し込み要件は異なりますが、1〜2年間、4分の1〜2分の1程度の家賃補助が受けられるものが多いようです。
空き店舗で開業する場合の補助金
空き店舗は、全国のビルオーナーや大家さん、商店街にとって非常に大きな悩みですが、空き店舗活用に関する補助金は全国各地に多く見られます。東京都昭島市では、「空き店舗活用補助金」を募集しています。市内商店街区域内で連続して1カ月以上使用されていない物件を対象に、店舗改装費として最大100万円、店舗賃借料として月額最大10万円の補助が受けられるというものです。また埼玉県所沢市の空き店舗補助金制度では、物件契約時の保証金、内装工事費、広告宣伝費が対象となり、総額の3分の1(限度額120万円)までの補助が受けられます。
上記のような空き店舗活用の補助金の場合は、家賃以外に物件の保証金や改装費も対象になることがあり、その場合はかなりの費用軽減になるかと思います。
UターンやIターンで開業する場合の補助金
都心で開業するよりも、人生設計を考えて故郷や地方での開業を目指す人も多いかと思います。Uターンは都会から故郷に戻ること、Iターンは都市部から出身部と異なる地方に移住することを指しますが、近年は、故郷に近い地方都市に移住するJターンという言葉も聞くようになりました。宇都宮市には、「UJIターン起業促進補助金」というものがあり、最長3年間、月額賃料の3割(最大6万円)までの家賃補助が受けられます。物件を購入した場合は、購入費用の1割(最大216万円)まで。法人設立費用や生活拠点確保に関する補助も行っています。また新潟県上越市の「U・Iターン創業補助金」では、1名以上の新規雇用をすることで上限金額が300万円になるほか、物件取得費や改築費用以外に、人件費も対象経費となるなどの特徴もあります。
新規開業の場合、資金のほとんどを開業前の物件取得費や内装工事費に使ってしまい、開業後の運転資金に余裕がなくなるケースが多いようです。そうなると当然、開業後の家賃の支払いが厳しくなってしまいます。物件オーナーへの家賃下げ交渉も一つの案ですが、その前に各自治体の家賃補助金、創業補助金を調べることをお勧めします。プレゼンテーションなどの審査が必要なものもありますので、しっかりとした事業計画をつくっていきましょう。都心での開業や地方都市へのI・Uターン、空き家活用など、ご自身のプランにあったものを選んでみてください。