まずは不動産業者に提出する「申込書」で書類審査
契約したい物件が見つかったら、まず不動産業者に契約の意思を伝えましょう。その際に求められるのが「申込書」の提出です。これは賃貸マンションなどとほとんど同じもので、氏名や連絡先、勤務先、年収、連帯保証人などを記入して提出することになります。これを見て不動産業者が、きちんと店舗を経営できる人物なのかを判断します。記入内容に不備がないようにするのはもちろんですが、記入する前後のやり取りも注意しておきたいところ。最終的には物件オーナーとの契約になりますが、最初の窓口はあくまで不動産業者であり、「この人ならオーナーに紹介しても大丈夫だな」と思ってもらう必要があるからです。
物件探しの際は不動産屋に直接飛び込むこともあるかもしれませんが、その際も第一印象がとても大切。住居を探しているのとは違い、あくまでビジネスのやりとりです。服装や言葉使いなどにも注意をしておきましょう。
物件オーナーとの面談による審査が重要なポイントに
不動産業者の書類審査が通れば、その後はオーナーとの面談が一般的です。顔合わせの意味合いもありますが、今後うまくやり取りができる相手なのか、きちんと店舗を経営してくれるのかといったことを確認する場でもあります。そのため、これまでの実績や開業後の明確なイメージなどをしっかりと説明できるようにしておくことが大切です。オーナーからの審査で重要視される具体的なポイントには、以下のようなものが挙げられるでしょう。■飲食業の経歴
飲食業の経験年数はかなり重要視されます。オーナー側からすると、「良い店ができそうだ」と思えるからです。有名店でのキャリア、店長経験などがあるとさらに信頼が高まります。もし経験が少ない場合は、集客や評判に繋がりそうな経験(例:料理教室を運営など)をアピールすると良いでしょう。
■業種、取り扱いメニュー
例えばラーメン店での出店を希望していて、すでに同じビルにラーメン店が営業している場合は、審査に落ちる可能性があります。同じテナントでの競合を避けるためです。もちろんオーナーの考え方にもよるので、申し込み時に確認をするようにしましょう。
■営業時間
何時から何時まで営業するのかということは、物件オーナーにとって非常に気になる問題です。特に住宅地に近い立地の場合は、深夜まで営業すると近隣からのクレームに繋がる可能性も出てくるからです。場合によっては、話し合いの上で営業時間を変更・調整する可能性もあると考えておきましょう。
■煙や騒音
煙や騒音が出る店舗は、場所によって断られる可能性が高まります。例えば焼肉店や焼き鳥店などは、煙も出て店内も汚れやすい業種なので、マンションの一階などでは断られるケースも。工事費用は高くなりますが、排気口をビル上部まで伸ばすことで審査OKとなることもあるため、オーナーに相談してみるのも良いでしょう。
■事業計画書
いくら魅力的なお店に見えても、継続的に経営する意思や計画性がないと、オーナーも物件を貸したいとは思いません。何度も店が入れ替わるよりも、評判のいい店に長く続けてもらいたいと考えている場合がほとんどだからです。事業計画は明確に記載し、安心して契約してもらえるように心がけましょう。
■人柄
飲食業がサービス業だからということもありますが、最終的には人柄で選ばれるといっても過言ではありません。最初は飲食業に貸すつもりのなかったオーナーでも、人柄を見て判断を変えてくれることがあります。何度も断られ続けて、数年がかりでオーナーを説得して契約を勝ち取った人もいるほどです。熱意があって信頼できる人と契約したいと考えるからでしょう。
連帯保証人は誰になってもらうべきか
事業計画書や経歴などは一人で用意できますが、「連帯保証人」は別の誰かに依頼しなければなりません。家賃が払えない最悪の場合に備えて、契約時には連帯保証人のサインと捺印が必要になります。両親のどちらかや兄弟などになってもらうケースが多いようですが、借主と同等の支払い義務を背負うことになるため、家族とはいえなかなか頼みにくいというケースも。連帯保証人をうまく見つけられない場合、「家賃保証会社」の利用を検討してみましょう。保証金は会社によって異なりますが、家賃1ヶ月分程度になることが多いようです。他にも、保証金の「積み増し」や「家賃1年分前払い」などによって保証人なしで契約できることもあるため、不動産業者に相談してみるのも良いでしょう。
「審査」と一口にいっても、これまでの経歴、業種や営業時間、人柄や保証人に至るまで、実に様々な要素によって検討されます。店舗の明確なイメージやきちんと経営できる人物であることをしっかり伝えられるように、前もって準備をしておきましょう。