そこで今回は、飲食店開業に必要となる坪数や厨房と客席の割合など、店舗物件の広さや面積についてご紹介します。
飲食店開業に必要な坪数はどれくらい?
必要となる坪数は店のコンセプトによって左右されますが、どんな業態でも10坪以上あれば開業できるといわれています。では、10坪未満の物件だと飲食店が開業できないのか、と問われるとそうではありません。テイクアウトのお店やカウンター席がメインとなる居酒屋やバー、ラーメンなどの業態は、10坪未満でも開業できます。実際に、3.7坪で月商340万円を稼ぐ北千住の餃子バル『アガリコ餃子楼』を始め、10坪未満の広さでお店を成功させている飲食店は、いくつも存在しています。10坪未満の飲食店はいわゆる極小店舗と呼ばれ、客席や厨房の面積、導線などが限られてしまう反面、家賃や人件費への出費を抑えられるため、成功するお店が作りやすいとされています。
広々とした物件を探す飲食店経営者も多いですが、業態やコンセプトによってはあえて10坪未満の物件を狙うのもおすすめ。どんな業態の飲食店をオープンしたいのか、どんなコンセプトを予定しているのか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
厨房と客席の割合はどう決める?
店舗物件を決めるにあたり、重要なのが厨房と客席の割合をどうするかということ。料理がメインの業態ほど厨房の割合が高くなるため、レストランでは4割を厨房に割くのが一般的といわれています。一方、ドリンクメニューがメインとなりがちなカフェの厨房比率は、2割ほど。本格的に調理する必要があるメニューが少ない業態ほど、厨房が占める割合は低くなります。ただし、坪数が少ないお店の場合は、調理の複雑さに限らず厨房の割合が高くなりがちなので、物件を探すときは注意しましょう。また、客席の割合を多く取ればそれだけ座席数も増え、見込める売り上げも多くなると考えがちですが、その分厨房が狭くなることを忘れてはいけません。場合によっては導線を上手く確保できず、調理に支障がでて上手くお店を回せない、ということもあるでしょう。このように厨房と客席の割合は、単純に客席が広ければ良い、厨房が広ければ良いと考えるのではなく、作業効率とのバランスを考えることも大切です。
1坪当たりに置く座席数は?
客席の割合が決まったら、次はお店に配置する座席について考えます。1坪あたりに置く平均客席数もまた、業態やコンセプトによって異なります。例えばレストランでは1坪あたり1.3席程に設定していることが多いのに対し、ファストフードでは2.5席以上置かれることもあります。ゆとりのある座席を確保したい業態ほど、1坪当たりに置かれる座席数が少なくなるのが一般的です。座席数を増やす程、見込める売り上げが増えるのはいうまでもありませんが、「高級レストランにも関わらず、1坪当たり2席置く」といったように、お店のコンセプトに沿わない座席の確保は雰囲気を損なう要因となり、結果的に客足が遠のくことも考えられます。客席数は、お店のコンセプトを示すポイントでもあるので、どれくらい座席にゆとりを持たせるのか慎重に検討しましょう。
物件探しは、「業態」や「コンセプト」を明確にした上で、それに沿った店を探すことが大切です。ぴったりのお店がすぐに見つかるとは限りませんが、自分の理想とする店舗物件はどんなものかを具体的に考えつつ、じっくり探してみましょう。