
スケルトン物件のメリットとデメリット
スケルトン物件とは、建物の骨組みだけの状態で、壁紙や天井、エアコン、厨房設備、家具などが全くない物件のことを指します(一部が残っている場合もあり)。■メリット
スケルトン物件を契約するメリットは、なんといっても設計やデザインの自由度が高いこと。厨房やトイレの配置、客席の広さなど、完全オリジナルで設計していくことが可能です。
店舗の工事中には、近隣の住民や通行客から、「どんな店ができるんだろう?」と注目してもらえますし、それを一つの宣伝期間と捉えることもできます。また、当然ではありますが、新しく店内を作るため清潔で綺麗な店舗になり、お客様に好印象を与えることができます。
■デメリット
一からの設計や工事によって、デザイン費や施工費が高額になる可能性があります。それと同時に、開業までの期間も長くなり、最低でも2ヶ月くらいは必要になるでしょう。時間がかかればかかるほど、開業前に支払う家賃などの経費も多くなってしまいます。
また、スケルトン物件には新築物件も多く、その場合は家賃が相場より高くなる傾向も。物件取得費や施工費に多くの金額がかかることで、運転資金が少なくなってしまう恐れがあります。
居抜き物件のメリットとデメリット
居抜き物件とは、以前に営業していた飲食店の内装や厨房設備、家具などが残された状態の物件のこと。家主との賃貸契約とは別に、前オーナーと内装などの譲渡契約を結ぶ必要もあります。近年は、居抜き物件の数が非常に増えています。■メリット
スケルトン物件とは反対に、開業資金を大幅に削減できることが挙げられます。内装や食器、備品までそのまま使用できる場合は、数百万円単位で資金を節約できることも。数ヶ月かかる開業準備も1~2週間あれば可能です。
初期投資を少なくして、開業後の運転資金に余裕を持つことができれば、早期に軌道に乗せることも可能です。また、以前のお店の常連客がそのまま自分の店の客になってくれることもあるでしょう。
■デメリット
基本的には以前の店のデザインのままですので、オリジナル性を出すことが非常に難しくなります。また、以前の店と違う業態で開業したい場合にはリフォームをする必要が発生し、場合によってはスケルトンより費用がかかってしまう可能性も。
例えば、以前軽飲食の店だった物件で重飲食の業態を開業したい場合には、大幅な設備変更をすることになってしまいます。厨房機器などを変更する場合は一度撤去してから新しいものを設置するため、設置するまでの工期がかかる上に、撤去費や設置費がかかってしまいます。
さらに、もともと設置されていた厨房設備などが故障してしまうこともありえます。機器の老朽化や予期しない不備などが原因で、修理費や撤去費が発生する事もあるでしょう。そのためすでに設置されている設備機器はできるだけ細かく、事前に確認しておく必要があります。
また、以前の店の評判が悪かった場合は、集客がしにくくなる可能性もあるので、入念な事前調査が必要となるでしょう。

スケルトンと居抜き、それぞれどんな人に向いている?
スケルトン物件も居抜き物件も、それぞれにメリット・デメリットがあります。だからこそ、それらを吟味し、自分に合った物件を契約することが大切です。■スケルトンが向いているのはこんな人
内装や家具にこだわりがあり、オリジナル性を打ち出していきたい方にはスケルトンがおすすめです。資金と時間にも比較的余裕のある方が向いているでしょう。
例えば、専門店を開業する場合は特殊な設備を使うこともありますので、そういった場合もゼロから店内レイアウトを決められるスケルトンが適しています。また、フランチャイズでの開業の場合は内装テイストが決まっていることが多いので、同様にスケルトンの方が都合がいいといえます。
■居抜きが向いているのはこんな人
居抜きでの開業は、飲食店初出店の方や、低資金で開業したい方に向いています。資金的なリスクを抑えて、堅実な経営を目指すならば、やはり居抜きでの開業が良いといえるでしょう。
どうしても以前の店舗のイメージの影響を受けることになってしまいますが、内装よりも味やサービスで特色を出せる業態であったり、自分である程度リフォームをするつもりなのであれば、それほど大きな問題はありません。工夫次第でデメリットはカバーできるはずです。
理想と照らし合わせつつ、柔軟に考えることが大切
誰でも開業は成功させたいものです。例えば飲食店を開業したことがない場合は、居抜き物件から探すのがベストといえるでしょう。もちろん、完全に理想に合う居抜き物件を見つけるのはなかなか難しいはず。居抜きで契約しつつ、部分的な改装をして開業するケースもありますので、柔軟に考えていくことが大切です。スケルトン物件の場合は、資金の確保が何より重要となります。さらに物件オーナーへのプレゼンや、開業前の家賃のフリーレント期間の交渉などもカギになるため、事業計画をしっかりと練るようにしましょう。
このように、スケルトン物件と居抜き物件では特徴や対応が異なります。どちらが自分の希望とする店に合うのか、じっくり慎重に検討を進めるようにしましょう。