
「風営法」っていったい何? 再確認してみよう
「風営法」という言葉はよく耳にするかもしれませんが、正式名称は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」。「風営法」はその略称となります。「風俗営業」には大きく分けて2種類があり、一つはキャバクラやホストクラブを含む「接待飲食等営業」、もう一つはいわゆる性風俗店の「性風俗関連特殊営業」です。ここでは前者の「接待飲食等営業」について詳しく見ていくことにしましょう。接待飲食等営業は下記の5種類に分けられています。
■1号営業
カフェ、バーなどの設備を設けて、客の「接待」をして、客に遊興又は飲食をさせる営業。ホストクラブ、キャバクラなど。
■2号営業
カフェ、バーなどの設備を設けて客に飲食をさせる営業で、店内の照度を10ルクス以下として営むもの。店員による「接待」はできない。
■3号営業
カフェ、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの。カップル喫茶など。
■4号営業
遊戯設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業。麻雀屋、パチンコ屋など。
■5号営業
遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える店舗。ゲームセンターなど。
これらの「風俗営業」を行う場合には、店舗所在地の都道府県の「公安委員会」に許可申請を行う必要があります。当然ですが、18才未満の利用は禁じられており、住宅地や学校付近では営業できない、深夜は営業できないなど、様々な規制が設けられています。

飲食店とどう関係があるの? 気をつけたいポイントとは
通常の飲食店を開業する予定であれば「風俗営業」には該当しないと考えられがちですが、必ずしもそうとは限りません。場合によっては、飲食店でも風営法に関係する可能性があります。■接待を中心とした飲食店かどうか
まず、1号営業の「接待」とはどのようなことを指すのか考えてみましょう。風営法では、「この法律において『接待』とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と記載されています。抽象的でわかりにくい部分もありますが、料理などではなく、「接待」自体をサービスとして提供すると、風俗営業に該当する可能性があると考えられます。
■店の明るさが10ルクス以下かどうか
店内の明るさにも注意が必要です。2号営業の「10ルクス」とは、ロウソクの火くらいの明るさのこと。「接待」はしなくても、深夜営業などで照明を落としていれば、風営法に抵触する可能性があります。また小さな個室がある場合には、3号営業に該当することも。開業前に、設計士にしっかりと事前確認をしておくことが重要です。
■ダーツやゲーム機などを設置しているかどうか
店内にゲーム機などを設置している場合は、4号または5号営業に該当する可能性があります。例えばダーツバーなどは、設備の数や設備を個室に置くかどうかで、5号営業に該当するかしないかが決まるとされています。
接待をしなくても照明の暗さや遊戯施設の設置により、「風俗営業」と見なされる可能性が十分にあります。「風俗営業」は、営業場所や営業時間について多くの制限を受けますので、飲食店として営業をする場合には「風俗営業」に該当しないよう十分に注意しましょう。
深夜に酒を提供する場合には許可が必要
スケルトン物件も居抜き物件も、それぞれにメリット・デメリットがあります。だからこそ、それらを吟味し、自分に合った物件を契約することが大切です。風俗営業は原則として深夜0時までの営業となりますが、接待などをしない飲食店であれば深夜営業も可能です。しかし、深夜0時以降も酒類を提供する場合には「深夜酒類提供飲食店」の届出をしなくてはなりません。ただし酒類以外に、主食と認められる食事(ラーメン、牛丼など)を提供している場合には届出の必要はないとされています。もちろん、この場合にも「接待」はしてはいけません。
「風営法」と聞くと、飲食店とは全く関係がないもののように感じている方も多いですが、飲食物を提供している店舗という部分では、じつは密接に関係しています。自店が風俗営業に該当していないか、今一度チェックをしておきましょう。
また、これから開業する場合は、自店でどのようなサービスを提供するのかを明確にすることが大切。その上で、必要な届出などについての調査を進めていきましょう。うっかり法律違反ということになったら営業停止処分もありえます。風俗営業に該当する可能性がある場合は、事前に公安委員会や行政書士などに問い合わせしておくと良いでしょう。