寿司屋に適した立地とは
寿司屋の業態は大きく2つに分けることができます。ポピュラーで庶民的な「回転寿司」と、高級志向で本格的ないわゆる「回らない寿司屋」です。回転寿司であれば、駅前やロードサイドなど、目につきやすく入りやすい立地がおすすめ。主要な駅前であれば観光客も呼び込みやすく、安定した集客が期待できます。ただし、個人で回転寿司を開業するには、多額の費用や様々な経営ノウハウが必要となるため、あまり現実的ではないかもしれません。
回らない寿司屋を考えている場合は、商店街や住宅地への抜け道など、少し落ち着いた立地が良いでしょう。本格的な寿司職人が握る高級寿司に見合う環境が必要です。複数階建ての建物であれば、1階が理想と言えます。
寿司屋はまだまだ敷居が高いイメージも残っているため、「サラリーマン向け」「カップル向け」「家族連れ向け」など、ターゲットを明確に絞るのも良いでしょう。ターゲットに合わせた店舗選びやメニュー作り、店内の雰囲気作りを行いましょう。
坪数や客席、設備などはどこを見るべき?
■坪数、客席寿司屋の場合は、寿司を握るという調理過程そのものがパフォーマンスとなります。そのため、特に高級志向を目指すならカウンター席がある小規模店舗が向いていると言えるでしょう。オープンタイプの厨房から全席が見渡せ、きめ細やかなサービスを提供できるのが理想です。小規模店舗にすることで常連客が定着しやすくなり、安定した売り上げに繋げることができます。
また、店舗の坪数を抑えることで家賃が安くなるのはもちろん、従業員数を減らせるため、人件費を抑えられるというメリットもあります。寿司屋は、他の飲食店と比べると原価が高くなり、廃棄によるロスも出やすくなるジャンル。家賃や人件費を少しでも抑え、リスクを減らす努力が大切です。
■設備
寿司屋は主に生ものを扱うため、通常の飲食店よりも多くの冷蔵庫・冷凍庫が必要になります。寿司屋独特の設備である「ネタケース」も、カウンター席を設置する場合には用意したほうが良いでしょう。ガスコンロや大型の炊飯器、またそれを設置するスペースも必要となります。一方、オーブンや揚げ物用の設備はほとんど必要なく、食器の数もあまり多くありません。厨房スペースを有効に活用できる設備選びを行いましょう。
また、寿司の繊細な味わいを楽しんでもらうためには、換気設備のチェックが重要です。厨房のにおいが店内に充満しないような換気設備になっているかどうかを確認しましょう。さらに、手荷物を入れるクロークバスケットやコート掛けがあると親切であるうえに、より高級感を演出できます。
■居抜き
スナックやバーとして営業していた店舗であれば、居抜きでの開業を検討できます。うまくいけば厨房とカウンターの造りがそのまま活かせるため、施工費用を抑えることができるでしょう。
居抜きでの開業を検討する場合は、厨房の大きさに注意が必要です。前の店舗が飲食店だったとしても、軽食が作れる程度の設備しかない場合もあります。また、あまりに厨房が狭いと、寿司屋として開業するのは難しいでしょう。冷蔵庫や冷凍庫、コンロや調理スペース、ネタケースを置くスペースがあるかどうかを確認しましょう。
また、昔ながらの和風店舗だけでなく、スタイリッシュに寿司を楽しむ店舗作りも魅力的です。寿司バルのように寿司を気軽に楽しんだり、創作寿司を提供したりするのも、今後人気が高まりそうです。「寿司を食べながら様々なアルコールを楽しめる」「ソファー席でくつろぎながら寿司を食べることができる」など、独自のアピールポイントを作れば、話題にもなりやすいでしょう。
さらに、店舗が一階でない場合は、「貝専門寿司屋」「サーモン専門寿司屋」など、コアな客層をターゲットにした店舗作りも一案です。
一口に「寿司屋」と言っても、「回転寿司屋」「高級寿司屋」「オシャレな寿司屋」「観光客向け寿司屋」など、様々な業態があります。物件を選ぶときには、立地だけでなく、来店を見込める客層の見極めが重要となります。店のコンセプトがすでに固まっている場合は、そのコンセプトに合った物件を探しましょう。