飲食店が物件を借りるには「事業計画書」の提出が必要
飲食店を営業する個人や法人が物件を借りるためには、貸主がテナントを審査する資料を提出します。それが、「事業計画書」。貸主、つまり大家さんの側は、その内容を審査します。人気物件の場合は申込者が多いので、大家さんは自らの希望に合うテナントを選べる立場です。なお、大家さんではなく管理会社が審査を担当する場合もありますが、事業計画書の提出、審査という流れは同じ。事業計画書は入居審査のほか、融資の申込でも必須です。さらに自分自身の開業とその後の収益化のためにも欠かせない書類なので、少し面倒ではありますがしっかりまとめましょう。「事業計画書」の書き方は?項目は、日本政策金融公庫を参考に
事業計画書が大事ということはなんとなく分かるものの、具体的に何を書いたらいいのか分からないという人もいるでしょう。個人経営の飲食店への融資を受け付けている日本政策金融公庫では、新たに事業を始める人向けの「創業計画書」のフォーマットと飲食店の記入例を提供しています。融資の審査のための事業計画書ですが、入居審査に際しても基準を満たした書類として活用できます。その記載項目は以下となっているので、参考にしてみましょう。1)創業の動機
2)経営者の略歴等
3)取扱商品・サービス
4)取引先
5)従業員
6)借入状況
7)必要な資金と調達方法
8)事業の見通し(収支計画)
9)自由記述欄
入居審査に通る「事業計画書」のポイントは?
必要な項目は解ったものの競合が多い人気物件の入居審査に通るためには、事業計画書の項目をきちんと記載するだけでは弱いといえます。大家さんが多くのテナント希望者のなかからどのように借り手を選ぶでしょうか。飲食店の場合、大家さんがテナントを選ぶポイントを考えてみましょう。まずは、店が繁盛して、できるだけ長く入居してくれること。そして、トラブルを起こさないことも大切です。さらに物件のステータスが上がるようなイメージのよい店であることも重要。事業計画書では、これらのポイントをおさえて伝えることが大切です。「店が繁盛しそう」と思ってもらえるために、店のコンセプトを明確に打ち出すことと、経費を抑えつつ着実に利益を上げるような収支計画を数字で示すことが大事です。店のコンセプトを決めるときには、ファミリー、シニア、オフィスワーカーなどのうち、どんな層に向けてどの程度の価格帯を想定するのか、地域のリサーチを十分にしましょう。大家さんは地元のことをよく知っているので、店のコンセプトが地域に合っていないと感じたら受け入れないでしょう。
店のイメージは数字や文章だけでは伝わりにくいので、事業計画書の添付資料として、価格が入った「メニュー表」「内外装のラフスケッチ」などを用意することがおすすめです。大家さんが、自社物件がどんな店になるのかを想像しやすくなります。また初開業であれば特に、店主本人の人と成りが重要なので、経営者の履歴をくわしく書きましょう。「大手飲食チェーンに10年勤務して複数店舗の店長を歴任」「××業界の企業で15年勤続」などの経歴を書いて、長く堅実に仕事をしてきた実績、管理職の経験などを強調。勤続の経歴によりトラブルを起こさない真面目な人柄も伝わります。