「犬同伴OK」だけなら、手続きは一般的な飲食店営業と同じ
「ドッグカフェ」に厳密な定義はありません。しかし、犬連れで飲食ができる店のことをドッグカフェということが一般的。一方、お店で飼っている犬と触れ合える店は「犬カフェ」と呼んで使い分けられています。今回は、前者の「犬同伴OK」の飲食店について考えます。動物と一緒に入店することができる飲食店にしたい場合、特別な許可申請は不要です。厨房に動物が入ることは当然禁止ですが、客席スペースへの出入りがあっても一般の飲食店としての申請・手続きのみです。ただし自治体によってルールが少しずつ違うので、管轄の役所で一度確認してください。開業後は来店する人がわかりやすいよう、小型犬のみなのか大型犬もOKなのか、犬と一緒に利用できるエリアはどこかなどルールを明確に表示しましょう。
愛犬家の口コミで集客につながる。ドッグカフェのメリット
ドッグカフェのメリットとして以下が挙げられます。■固定客を獲得しやすい
いつもの散歩コースに居心地のいいドッグカフェがあれば、定期的に立ち寄ることに。ドッグオーナーのリピートが期待できます。■愛犬家コミュニティで集客できる
日々交流する愛犬家同士の口コミで、店を広めてもらうことができます。また、愛犬家の交流の場としても活用されます。■住宅街への出店で賃料を抑えられる
繁華街はドッグカフェには不向き。むしろ住宅街や公園そばの立地が向いているので、物件費を抑えることができます。■犬向けのメニューで客単価を上げられる
カフェを一人で利用するときの客単価は数百円ですが、一人プラス一匹の来店ではプラスアルファが見込めます。■物販など多角化が可能
愛犬家という共通項のある顧客向けに物販やサービス、イベント開催などで売上アップを図れます。物件探しが難しい?ドッグカフェのデメリット
一方デメリットとしては以下があります。■物件探しが難しい
店舗オーナーが動物の出入りに難色を示すことは多く、飲食店営業可の物件でもドッグカフェは不可ということもあります。理解のある貸主に対しても、業態や清掃や管理の計画などを明確に提示してよく話し合う必要があります。■内装設備にコストがかかる
リードフック、滑り止めの床、衛生的な防臭・防水加工、換気設備、犬の足洗場など、特別な設備の費用がかかります。■衛生管理にコストと手間がかかる
毎日の衛生管理も大変です。常に清掃を徹底するためのスタッフ確保や定期メンテナンスのランニングコストがかかります。犬向けサービスを提供する業態なら、許可申請が必要な場合も
ドッグカフェの業態については選択の幅があります。多いのは、一般の人も利用する飲食店で、テラス席などエリアを限ってペットOKにするスタイル。このような飲食店は住宅街に増えていて、カフェだけでなく和食やイタリアンなどジャンルも多様化しています。一方、犬とオーナー向けのサービスを充実させる場合、まず用意したいのは、ジャーキーやクッキー、ミルクなどの犬の軽食、犬用バースデーケーキなどの犬用飲食メニュー。ドッグフードの化学物質を心配する飼い主のニーズに応える安全・安心素材のごはんや健康食品も喜ばれます。テイクアウトが想定されるなら、ペットフード安全法の規定により農林水産省への届出が必要となる場合があります。各種グッズ販売のほか、フォトスポットの提供も人気です。郊外のエリアではドッグランを併設するカフェもあります。もし犬の一時預かりやトレーニングなどのサービスを実施する場合は、第一種動物取扱業(保管)などの許可登録が必要です。
ドッグカフェの物件選び
ドッグカフェ向きの物件を選ぶポイントは以下です。■戸建てが多い住宅地で犬の散歩ルート沿いがベスト
ドッグカフェの物件探しは、繁華街ではなく周辺にドッグオーナーが多い住宅地をチェックしてみましょう。犬が散歩しやすい遊歩道や公園の近くなら好立地です。■目につきやすく入りやすい路面店
遠くからでも目に入る路面店で、バリアフリーな店舗が適しています。快適なテラス席を設置できる環境かどうかもチェックしましょう。■ロードサイドや郊外の立地も可能
駐車場とドッグランなどを備えた広い店舗は、毎日の散歩というより犬とオーナーのお出かけ先。愛犬家が集まるイベントの会場としても重宝されます。また、看板犬を飼う店も多いです。ドッグカフェを成功させるには物件選びが大切です。「ここなら」と思える店舗をじっくり探しましょう。ドッグカフェの営業には追加コストや難しさもありますが、店主自身が犬好きなら多様なチャレンジを楽しむことができそうです。