飲食店の「売上予測」とは? その重要性を理解しよう
売上予測とは、開業してから毎月どれくらいの売上を立てられるかあらかじめ予測すること。自分の店の業態、席数などを踏まえ、根拠のある数字を積み上げて予測を立てる必要があります。開業時の売上予測はなぜ重要なのでしょうか。理由は主に3つです。
1…売上予測をもとにして経費を決めるため
仕入れる食材やスタッフの雇用は売上予測に基づいて適切に設定します。仕入れが多すぎれば無駄が発生するし少なければ顧客に良いサービスを提供できません。
2…金融機関からの融資を受けるため 日本政策金融公庫などに融資を申し込むには詳細な売上予測を提出する必要があります。
3…経営状況のモニタリングのため
開業後、実際の売上が売上予測と乖離していれば、店舗経営について見直しが必要になります。早めに軌道修正をはかるために売上予測が役立ちます。
売上予測と売上目標の違いは?
売上予測は売上目標と似ていますが、その違いは以下の通りです。売上目標:自分の店が売り上げたい最大の目標値
売上予測:自分の店の売り上げとして予測可能な、現実的な数字
売上予測とともに売上目標を設定すると、目標を達成するため、「チラシを配って宣伝する」「看板メニューを考える」など、売上アップへのモチベーションを保つことにつながるになるでしょう。売上予測と合わせて、売上目標も作成しておくことがおすすめです。
売上予測を立てるときに重要な4つの数字とは?
売上予測を立てるときは、以下の4つの数値を使い、計算をするのが基本の考え方となります。売上予測 = 客席数 × 客単価 × 回転数 × 客席稼働率
たとえば客席数が20、客単価が2000、回転数4、稼働率を0.7とした場合、1日の売上は
20 × 2000 × 4 × 0.7 = 112,000円
となり、これに月の営業日数を掛けたものが月売上となります。
以下ではそれぞれの数値について解説します。
■客席数
席数は店舗の面積と業態によって決まります。店舗面積のうち、必要とされる厨房の面積は平均で30%、カフェやバーではそれより低く、メニューの品数が多いレストランではそれより高くなります。また客席のスペースに配置できる席数も、業態によって違ってきます。店のレイアウトを決める段階で客席数を明確にしましょう。■客単価
1回の飲食で支払う金額はそれぞれ違いますが、客単価はすべての客の支払額の平均値で考えます。ランチタイムとディナータイムで客単価が大きく違う場合、昼と夜に分けて計算するほうがより正確になります。■回転数
1日のうちに1つの席を何人のお客が利用したかという数字です。1日の来店客数を席数で割ったものが回転数です。■客席稼働率
客席が実際にどれくらい使われるかを数値で表したものが客席稼働率です。0.7、0.8のように設定します。4人掛けのテーブルに3人が座ると、満席でも客席稼働率は低くなります。上記4つの数字のうち、客席数以外は「予測」する必要があります。店舗の状況を考慮し、できるだけ正確な予測をすることが大事です。
開業時の売上予測の立て方は?
開業前の事業計画で売上予測を立てるには、どのような考え方をすればよいでしょうか。ひとつの有効な方法は、競合店の調査です。競合店の調査は客単価の相場を知るために欠かせません。メニュー単価を決めたり、店の差別化ポイントを考えたりするのにも役立ちます。近隣の店に行けばその土地における客単価や回転数、客席稼働率が推測できるので参考にしましょう。
また、飲食店の売上には月ごとに波があることも考慮しましょう。一般的な飲食店では2月や8月は閑散期、12月や1月は繁忙期とされているため、1か月ごとの売上予測を立てることも有効です。
開業前に売上予測を立てることが難しい場合は、専門家に相談するという選択肢もあります。近年は自治体で無料の創業支援窓口を設置していることが多いので、チェックしてみましょう。有料で飲食店開業を支援しているコンサルタントに相談する方法もあります。また、不動産会社や内装業者に参考意見を求めるのもいいかもしれません。
飲食店を開業し収益化していくためには、まず周到に売上予測を立てて、それを実現していくことが大事です。着実に準備していきましょう。